本と詩と,どうでもいいこと。

たいていどうでもいいことばっかりです。

おまめんの思考メモ

憲法記念日に読むべき詩と花森安治

先日,無印良品が出しているブックシリーズ

MUJI BOOKS 人と物」2巻,「花森安治」を読みました。

人と物2 「花森安治」 | MUJI BOOKS | 無印良品

mujibooksはなかなか良くて,このほかにも茨木のり子を持っています。

カラーページや写真もありながら,いくつかの作品が読めて,そしてお値打ちプライス500円。

無印良品らしく無駄な装飾はなく,帯は商品タグみたいでこれもしゃれおつ。(ブックカバーデザインにお金がかかってないからこのプライスなのかも)

柳宗悦も買おうか迷い中。。。笑

 

花森安治について

花森安治(はなもり やすじ) 1911~78年

・「暮らしの手帖」初代編集長。編集者,グラフィックデザイナー,ジャーナリスト,コピーライター。

・1948年,二度と戦争を起こさないために,くらしを大切にする世の中にしようと「暮らしの手帖」を創刊

 

花森安治は「暮らしの手帖」の編集長として,有名な人ですね。(「とと姉ちゃん」でも話題になったのかな。このテレビ小説見てなかったからよくわからんのだけどw)

↓この本を読んでから興味が湧きました。 

花森安治のデザイン

花森安治のデザイン

 

 これは純粋にデザイン中心の本なんだけどめちゃくちゃおしゃれ。。。見てるだけで幸せになれる。。。

 

「暮らしの手帖」は今もある雑誌だけれど,この本の創刊は「二度と戦争を起こさないために,くらしを大切にする世の中にしよう」っていう想いが込められていたというのは今回初めて知りました。

 

●見よぼくら一銭五厘の旗

さて話は戻りますが,MUJIBOOKSの花森安治の本。

最後に,「見よぼくら一銭五厘の旗」という詩の体裁をとった文章が収録されていて,これがめちゃくちゃ,いい。

下のリンク先からも読めるので,少し長いけど,興味があればぜひ読んで欲しいです。

日本ペンクラブ電子文藝館

 

戦争を経験してきた安治の言葉は,ものすごく力があって,

高名な詩人が技巧を凝らして書いた文章よりも,シンプルに,強く,伝わってくる。

そして,この文は1970年に書かれたのに,つい最近のことを書いているようだった。

 

もう戦争は すんだ/まるで うそみたいだった

なんだか ばかみたいだった/へらへらとわらうと 涙が出てきた

  

生きるということは/生きて暮すということは/そんなことだったのだ

戦争には負けた しかし/戦争のないことは すばらしかった 

 

さまざまな戦争に関するマンガや小説を読んできたけれど

このシンプルな言葉たちには 心をぎゅっと捕まれた。

焼野原,そして美しい夜空の映像が 私の心に灯った。

七円のハガキに/困まることをはっきり書いて出す

何通でも じぶんの言葉で はっきり書く

お仕着せの言葉を 口うつしにくり返して

ゾロゾロ歩くのは もうけっこう/ぼくらは 下手でも まずい字でも

じぶんの言葉で 困ります/やめてください とはっきり書く

七円のハガキに 何通でも書く

 

安治は「ぼくには,一本のペンがある。」と言っているように,戦後はペンによって戦うことを決意して生きてきた人だ。

社会へのアンガジュマンを続けてきた人だ。

 

私は,当然安治の足元にも及ばない しがない編集者だし,自分の力で本を作っているわけではないのだが,この仕事について「絶対に思想的に偏った人を生み出してはいけない,真実を求めることができて,自分のアタマで考えることのできる人を育てるために この仕事をするのだ」と強く思ってきたし,それを仕事に反映してきたつもりだ。

 

でも,いざ,私という人間として,自分の言葉で,社会にメッセージを発することができるか?と言われると突然足下がぐらつき 誰も知らない場所に一人置き去りにされたような心許なさを感じてしまう。

こういう仕事をしているから自分は十分役割を果たしている なんて仕事を免罪符にしてしまうこともある。(チョンマゲ野郎が住みついているのか?)

 

言わないで思っているだけで あとから「こう思っていた」なんていうのは後出しジャンケンに過ぎない。

 

大きな言葉で,面と向かって,言うことができなくても,詩という体裁をとってなら言えるかもしれない。ブログで,ツイッターでなら,言うことができるかもしれない。できることは微力でも,ないわけではない。

卑怯な大人でいてはいけないな というのを改めてこの詩を読んで思った次第です。

 

自分の頬をぴしゃりと叩いてくれる素晴らしい詩でした。

憲法記念日にぜひとも読んでもらいたい詩です。